【整体師が監督】産後の強い痛みの腰痛の原因の正体を教えます!
産後に激しい腰痛が続いて困っていませんか?
女性にとって、妊娠と出産は人生最大のイベントです。
妊娠中のつわりや食欲の変化、むくみや貧血などの体のだるさなど、いつもと違う自分の体に戸惑います。
しかし、これらの症状は、個人差があります。
とくに大きな変化やしんどさを感じないまま、順調に出産まで進む人もあれば、妊娠初期から出産まで入院が必要になる人もいます。
その中で、誰もが変化する体の部分があります。骨格です。
妊娠してお腹が大きくなるのに合わせて、背骨と骨盤の形が変わります。
そして、お産のときに、骨盤はさらに大きく形が変わります。
このときに、骨盤が変形してしまい、腰痛の原因になることがあるのです。
わたしは女性整体師として、多くの女性を見てきましたが、患者様の中には産後30年間も強い腰痛に悩まされた方もいました。
どうして、産後に腰痛が続くのか、お話させていただきます。
妊娠中の背骨の変化
通常、人間の体を支える中心である背骨は、首の部分の頸椎が少し前へ、胸の部分の胸椎が少し後ろ、腰の部分の腰椎が少し前へ曲がり、横からはS字に見えるカーブを描いています。
このS字カーブによって、背骨は柔軟な体の動きを保ちつつ、体重を支えています。
妊娠すると、妊婦さんの体は大きく変わります。
妊娠中、重たいお腹を支えて歩くために、背骨は変化します。
変化のしかたは、妊婦さんの体格によって2つあります。
背骨のS字カーブが大きくなる変化
ひとつは、通常は少しずつ前後に曲がっていた脊椎の角度が大きくなり、背骨のS字カーブは大きくなる変化です。
大きくなったカーブに合わせて、背中の筋肉はいつもと違う動きをしなければならなくなり、疲れがたまって、痛みが出ます。
そして、曲がった背骨のうち、とくに体重のかかる腰椎が痛み始めます。
痛みだけなら良いのですが、ときには腰椎の一部分に体重がかかりすぎて、腰椎の間のクッションである椎間板が飛び出してしまう、腰椎椎間板ヘルニアを起すこともあります。
そして、腰椎の間から足へ伸びている神経を圧迫して、足がしびれることもあります。
S字カーブが少なくなる変化
次いでもうひとつは、S字カーブが少なくなる変化です。
これはもともとの筋力が少ない人に起りがちです。
重たいお腹を支えられなくて体が前に曲がり、S字カーブが崩れて伸びてしまいます。
それでも、背中の筋肉は体を支えようとするので、筋肉に疲れがたまって痛みを感じます。
妊娠中の骨盤は変形しています
骨盤の中には、生殖器や泌尿器、腸などの、重要な役割を持つ臓器が入っています。
女性の骨盤の中心には子宮があり、硬い骨盤と内臓で大切に守られています。
妊娠すると、赤ちゃんの成長に合わせて、子宮が大きくなります。
子宮が大きくなると子宮を守る骨盤も大きくなります。大きくなると言っても、骨盤の骨の大きさは変わりません。
その代り、骨盤の関節がゆるんで骨盤を広げます。
適度なゆるみであれば、骨盤が妊婦さんの体を支えられるため痛みは出ませんが、ゆるみ過ぎると体を支えきれなくなり、腰に負担がかかって痛みが出ます。
お産のとき、骨盤は脱臼します
さきほどの説明のように、妊娠中、妊婦さんの骨格は大きく変化しますが、出産のときは、もっと大きく変化します。
赤ちゃんの大きな頭を通すために、骨盤の一番底の部分にある「恥骨結合」という関節が脱臼します。
出産が終わると、恥骨結合は再び元の形に戻ります。安産だと、続いてゆるんだ骨盤も締り、妊娠前の骨格に戻ります。
しかし、恥骨結合が元の形に戻らない人もいます。
一度脱臼した左右の恥骨が再び合うときに、ずれてしまうのです。そうすると、骨盤の締りも不十分になり、激しい腰痛が続きます。
恥骨結合を正常に戻すには
この記事の最初に書いた産後30年間、腰痛に悩まされた患者様のお話をします。
その方の骨盤は恥骨結合がずれていました。産後30年間ずれたままです。
そこで、恥骨結合を矯正し、骨盤を締め、背骨のカーブを正常な形に整えたら、腰痛は消えました。
患者様は「長くつきあってきた腰痛がなくなって、逆に怖い」と言われていましたが、今は腰痛が無い生活に慣れました。
他にも、産後に激しい腰痛が続く方は、恥骨結合がずれている場合が多くあります。
ですから、産後の腰痛が続く方は、恥骨結合が原因であると疑っても良いでしょう。
できれば、ご自分で矯正する方法があればよいのですが、難しい部分なので、評判が良い信頼できる整体院や接骨院で矯正してもらいましょう。
産後の腰痛予防、骨盤を整えるストレッチ
恥骨結合の矯正は難しいのですが、骨盤と背骨のカーブを整えるストレッチは自分でできます。
とても簡単なので、自宅にいる人は、この記事を読みながらやってみましょう。
- まず、仰向けに寝て大きく息を吐き、ゆっくり深呼吸をして、体の力を抜きます。
- 両足を伸ばしたまま肩幅より少し広めに広げます。両手は軽く体の横に伸ばします。
- 両足の足先を左右に振ります。足先だけでなく、足全体が軽く左右にねじれるように意識してください。
- 両手も同じく左右にねじれるように、手のひらを上下に回します。
- 10回ほどすると、手足の筋肉がほぐれます。ほぐれたところで、足を伸ばしたまま、右足の踵を突き出すようにさらに伸ばしてください。
- 足の裏側が伸びていることを感じたら10秒数えます。
- 10秒数えたら、右足の力を抜いて、次は左足の踵を突き出します。
- 10秒数えて左足の力を抜いたら、右手を斜め45度上に伸ばします。ちょうど、高い棚の上に頑張って手を伸ばすような力の入れ方になります。
- そして10秒数えて力を抜き、左手も同じように伸ばします。
たったこれだけの、簡単なストレッチですが、骨盤と背骨の周囲の筋肉が柔らかくなり、硬く痛みを訴える筋肉から解放された骨盤と背骨は、正常な形に戻りやすくなります。
女性の体はデリケートです。
出産の後は忙しい育児が続きますが、産後の腰痛を予防するために、骨盤と背骨を早く正常な形に戻すストレッチをして、続く痛みから体を守りましょう。